2020/12/20

Vueの不具合

Vueの不具合について、忘れない内にメモ。

今年の5月に使ったっきり、Vueは絶賛放置中だった。3Dモデル作成も、仕事で小物を作成したくらいで、Vueでのレンダリングを必要としなかった。

さて、12月に入って、年賀状の絵を作らなくちゃ(3Dシーン作成のモチベーションの一つ)と思い、Vueを起動した。

起動は問題ないのだが、地形を作成し、サイズを調整しようとしたところ、いきなりフリーズ。何もメッセージも出ず、ただキー入力もマウスも受け付けず、固まっている。タスクマネージャで見たところ、応答なしとはなっておらず、OS側からはVueは正常に動いていると認識しているらしい。しかし、固まっていることには変わりはないので、強制終了させる。

その後、テストで簡単なシーンを作成し、保存しようとしたところ、保存ダイアログでファイル名を入力のところでまたフリーズ。結局、試してみたところ、デフォルトシーン(起動してそのままの状態)を保存しようとしても、キー入力のところでフリーズする。つまるところ、全てのキー入力のところで固まる。

これではどうにもならないので、サポートにチケットを切った。時差はあるが、Bentlyはすぐに回答をくれる。

最初のアドバイスは、「AppData下にあるVueのフォルダを削除して、コンフィグレーションを初期化する」ことだった。しかし、これは効果なし。

再び報告したところ、次のような回答が来た。

「日本のOS上でのVueの振る舞いはかなり奇妙だ。日本語のIMEが影響しているようなので、Vueの起動前に一旦Latin系のIMEに切り替え、Vue終了後に日本語IMEに戻すことを推奨する」

…IMEが影響しているらしいことは想像していたが、厄介な回避方法だ。

外国のソフト上で、日本語のユーザ名やフォルダ名、ファイル名がトラブルを引き起こすことは知っていたので、それらには一切日本語は使っていない。Vueの起動時にもIMEは起動させていない。それでも、IMEがトラブルを起こすのだ。

フリーズするのは、最新版のVueだけではなく、Vue2016,Vue2015でも同じ状態。全部試したわけではないが、Bently(E-on software)の製品だけ日本語IMEで問題起こすのはどうなのよ、とちょっともやもやする。

キー入力がダメなら、テキストエディタで数値を記入しておいて、それをコピペすればいけるかな? などと考えていたが、ある方がツイッターでつぶやいた内容にハッとした。このつぶやきは、おそらく私のトラブルとは全く関係のないことからだったと思うのだが、IMEがらみだったため、目に留まった。

今回、私はこのトラブルは、Windows10の大型アップデートが起因ではないかと疑っていた。Version 2004に更新されたのは、11/25。その前後にVueを起動させていないので、確かなことは言えないのだが、Microsoft IMEもこのときに仕様が変わったのではないか。

Twitterのつぶやきは、このIMEの「ロールバック」に関するものだった。

 

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2020/05/30

第14回和風展

今年も和風展開催となり、よかったよかった。
今回は4月から自宅勤務だったこともあり、時間もあって早めに画像はできていたのだが、ぐずぐずしていて投稿が遅れてしまった。
画像については、投稿の際のコメントで書き尽くしているが、「本棚の隙間に窓を開けたい」ということ。
本棚に目をやったときに、お気に入りの本の間に向う側の世界が見えたら、最高じゃない?

 

制作に関して付け加えるとすると、3Dで縦長の構図をとるのはなかなか難しい。レンダラが生真面目にパースをかけてくるので、カメラの画角やオブジェクトの大きさ、角度などと取っ組み合いをしなければならない。
まだ満足できる設定は見つけていないのだが、縦長画像も面白いので、いくつか作ったら印刷・ラミネートして本のしおりでも作成しようかなと考えている。

 

さて、和風展の参加賞だが、1点目は「茅の輪」。

Chinowa_img
ご存じの方も多いと思うが、「夏越の祓」の際に神社が拝殿前の参道に設置するものだ。

茅の輪は最低3回くぐって回るものらしく、右・左・正面と回る、とか、回る際に「蘇民将来」などと唱えるとか、神社によって色々違うらしい。

モデルの大きさはテキトーなので、大体高さ2~2.5mぐらいと思って拡大縮小していただきたい。

もう1点は、「屋形船」だが、

Yakatabune_img

これも夏越の祓と無関係ではない。

夏越の祓と軌を一にして、川遊びの時期となるのだ。もっとも、江戸期にあまり茅の輪くぐりを行ったという話は聞かないので、夏越の祓の方法は違っていたかもしれないが。

「屋形船」は「屋根船」とは違い、10人以上乗せる大型の観光船である。長さは、最大の「吉野丸」「川一丸」クラスで、15mぐらいあったらしい。動力はどうすんの、という質問だが、帆走できるわけもなし、櫓もこの大きさでは力不足ということで、屋根の上に水夫が4~5人取りついて棹をさしていたようだ。当然、川をどんどん遡ったり、転回したり、ということも難しく、結局のところ川岸や桟橋からあまり遠くないところでぷかぷか浮かんでいただけ、ということだろう。まあ、中で歌ったり踊ったり酒盛りしたりしながら、花火見物などをしていたわけで、別に「航行」しなくてもよかったのだろう。

モデルには「提灯」と「幕」を別につけている。Poserで読み込むときはcenter及びスケール100%をオフにしないと、位置がずれると思う。

さて、みなさんのギャラリーを拝見してコメントをつけなくては…

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2020/04/05

江戸名所図会地図

暗いニュースばかりで、気分が落ち込む毎日だが、生きていかなければならない!

仕事がヒマになって時間ができたのはいいが、外出が難しくなってきたので、食料品の買物以外は家にこもって本を読んだり、資料を調べたり。

前々から考えていた、「江戸名所図会」のマップを作成することにした。各項目の説明自体は、歴史家の方々にお任せし、ひたすら地図にプロットする。そもそもは、ある場所のことを調べたいときに、「これは名所図会の何巻に載っているのか?」というのを探すのに苦労したから。

正確な場所を特定するのは困難なことが多いし、江戸名所図会の編者自体が曖昧な記述しかしていなかったりする。Google先生に頼り、あちこちのサイトに飛んで、推測推理しながら場所を調べていくのは、実をいうとなかなか楽しい作業だった。

それにしても、世の中には色々な人が地元の歴史を調べ、価値ある情報を出してくれているものだなあと感激する。

わずか半月たらずで一応の完成を見られたのは、一にも二にも、これらの郷土史家、マニアの方々のおかげだ。

「江戸名所図会地図」はこちら

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2019/08/11

アイルランド・イギリスへ

P8050100_s

少し早い夏休みをとって、アイルランドとイギリスに行ってきた。本当のことをいうと、香港に行くつもりで5月に予約をしていたのだが、盆休みのツアーとあって、2泊3日なのにめちゃくちゃ高い料金にだんだん嫌気がさしてきて、キャンセルしたのだ。7月に入ってからの香港の騒動を見ていると、行先を変更して正解だったと思う。香港のデモは同情できる点はあるが、旅行者として現地でフライト中止などになって途方に暮れる羽目になるのは避けたい。もっとも、今回のフライトでも問題はあったのだが後述。

まずはロンドンを経由して、アイルランドはダブリンに飛ぶ。今回は、乗り継ぎ便も含め、すべてBritish Airways。航空機と宿の手配だけを依頼するタイプのツアー。
ヨーロッパとなると、搭乗時間が12時間近くなる。元々乗り物の中で寝られない体質だし、寄る年波で疲労がかさむことも考えて、ロンドン←→羽田間は、プレミアムエコノミーシートにした(ビジネスクラスはさすがに高すぎ)。席も事前に指定して、一番後ろの通路側にしてもらう。結果としては、割増料金を払っただけのことはあったな、と満足している。足を伸ばせるクリアランスが少し違うだけで、かなり息をつけた。提供されるアメニティとか機内食とかは、そこはBAなのでそれなり。

ダブリン市内は、新しい建物と古い建物が混在しており、正直言うとそれほどきれいな街ではない。路上のゴミがとても目立つのだ。ロンドンでもそうだが、屋内では厳しく禁煙になっているが、路上喫煙はOKのようで、みんな歩きタバコしてはポイポイ吸い殻を捨てる。ゴミの収集がどうなっているのか知らないが、大袋のゴミ袋が山のように歩道に積み重なり、景観を損ねていることこの上ない。
観光客はとても多いし、治安が悪いという印象はなかったが、路上に座り込むホームレスが一定数いる。街角で立ち止まって地図を見ていたら、ホームレスの男性がヨロヨロと近づいてきたので、さりげなくその場を離れた。

次の日は、アイルランドの古城を巡るツアーに参加する。集合場所はホテルから徒歩10分ぐらいのところだが、沢山のツアーの出発地点となっているようで、早朝からツアー客がごちゃごちゃにたむろしている。ガイドが大声で行先を叫ぶので、それにぞろぞろついてバスまで行くのだが、うまく聞き取ることが肝要。
この日は天気が良くなく、ダブリン市内を出るあたりから雨が降ったり止んだり。まあ、城巡りなので、天気が悪くてもいいかなと。
ロンドンからダブリンへのフライトで、上空からも見ていたのだが、アイルランドは本当に緑の国だ。日本で、田んぼがずっと広がっている景色に似ているが、もっと緑色で、ゆるやかな丘陵で、その丘の上まで緑色。これは、全部放牧、牧草地帯なのだ。緑に混じる黄金色は、収穫期の小麦。

一つめの城、ブラーニー城。三層の建物で、現在見られる形の城になったのは15世紀半ばらしい。この城には、珍しいPoison Gardenがあり、毒のある植物ばかりを集めてある。生えているマリファナを初めて見た(いや、乾燥したものも見たことないけど)。

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スコットランドでも感じたが、アイルランドでは全ての標識・看板に英語とゲール語の表記がある。ゲール語は、ぱっと見たところ英語や他のヨーロッパ言語とまるで共通性がないため、初めにゲール語表記を見ると軽く混乱してしまう(帰りに、ガイドさんが英語のKiss my aXXはゲール語でこう言うんだよ、と教えてくれたのだが、忘れてしまった笑)。
次はロック・オブ・カシェル。この城の塔の上にある石にキスをすると、雄弁になれるという伝説があり、みんな列を作ってぞろぞろ狭い階段を上がって行く。しかし、あまり列が長いのと、雄弁になってもしょうがないなーという思いが募り、「ここが離脱する最終チャンス!」という案内板があるところで抜けて、単独見学へ。この城にも美しい庭園があり、大きなアザミが咲き誇っていた。

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庭のキツネさんは置物です(^^

3つ目は、カヒア城。管理人の方が色々説明してくれたのだが、雨がひどくなってくるし、聞き取れない部分が結構あったので、ここも一人で見学。この城は、13世紀から19世紀にかけて、建て増ししたり修復したりしながら存続しているらしい。中世のアイルランドの女性がどのような暮らしをしていたか、という展示があって、興味深かった。

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ダンジョンへの入り口!

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2019/07/24

Poserのバグか?

数寄屋-海であるが、早速使ってみてくださったsannziさんから、「テクスチャがおかしい部分がある」というご報告をいただいた。
具体的には、su_04wallの、欄間の右側の一部分が白っぽくなってしまっているもの。

20190724_20h31_20

メタセコ上でも、そこから吐き出したobjを他のソフトで見ても異常はない。ただし、そのobjをPoserで読み込むと、やっぱりおかしくなる。
どうも、objをPoserで読み込む際に、UVを一部破壊してしまうようなのだ。Poserは、2014と11で試してみたが、いずれも同じ。
色々条件を変えて試してみると、
・objで使用しているマテリアルが単一のときは大丈夫(のようだ)
・メタセコのエクスポートプラグイン、YetAnotherObjを使用したときに発生
・メタセコのデフォルトobjエクスポートでは大丈夫(のようだ)

うーむ。
作成したpp2ファイルをGeomStripperを利用して、objを抽出し、su_04wallを見てみる。
まず、UVソフトで見ると…
何じゃ、こりゃ。問題の欄間のUVが、壁のUVと重なってしまっているではないか(ついでながら、長押の一部と障子のUVも)。

20190724_20h57_55

で、objをテキストエディタで開いて比較。こういうときに、テキストベースのモデルは楽だ。
ちなみに、04wallの他に、06wallもおかしいことが判明したので、ポリゴン数が少ない06wallで調査した。

ここで、objファイルの構造解説をちょっと。
objファイルは、結構いいかげん柔軟な構造で、基本的には次のような記述になっている。
(ヘッダ省略)
v x値 y値 z値
v x値 y値 z値

  :

vt u値 v値
vt u値 v値

      :

f 数値/数値
f 数値/数値

「vn」というキーワードもあるが、Poserでは使用していないため省略。
で、
vは頂点座標、vtは頂点座標に対するテクスチャ座標。そして、fは面データで、数値/数値/数値とか、数値//数値という書き方もあるが、これらは法線ベクトルに関する記述で、Poserでは使用していない。数値/数値という記述の場合、頂点座標値番号/テクスチャ座標値番号を表す。「頂点座標値番号」「テクスチャ座標値番号」はどうやって規定されるのかというと、それは単純に並び順。vセクション、vtセクションで並んでいる順番を示している。
UVがおかしい、ということで、最初はvtセクションがおかしいのではないかと思っていた。しかし、メタセコからエクスポートしたobjとpp2から抽出したobjを見比べてみると…

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2019/07/22

数寄屋-海

数寄屋-海をリリース。

_s_umi02
数寄屋-華を出したのが、2006年だから、なんと13年も前だ。その当時から、別の数寄屋を作る予定はあったのだが、なかなか着手できなかった。
今回は、梅雨明けも近いということで、夏向きの座敷である。組子障子は、「網干」。これが結構インパクトがあるデザインなので、他の部分はそれほど凝らないで、「海」にこだわりながら、シンプルにまとめるようにした。

_s_umi01
天井は「船底天井」、落とし掛けは流木のイメージ。床柱は、最初は帆柱モチーフの「松明柱」にしてみようかと思ったのだが、さすがに床柱に「寄木」+箍、というデザインはなかろうと、なぐり仕上げの丸太にした。「なぐり」というのは、手斧ではつった面をそのまま見せる仕上げで、今回は床柱の下部を削る「筍目」はあえて入れていない。襖は墨流し風の波模様、引手は舟型。釘隠しは蛤。

_s_umi03
床は左側に小壁を立てる「袋床」という形式である。香炉は「宝船」。

_s_umi05

軸は、北斎先生の「遊亀図」を借用。「これは淡水の亀じゃないの?」とか言わない(笑 

本来「数寄屋」は「書院」+「茶室」である。「華」には入れなかったが、茶道用の炉があってしかるべき、ということで、今回は炉を切ってみた。02rotatamiを非表示にすると、炉が出てくる。もっとも、夏を意識した座敷なので、炉ではなくて風炉を使う感じかなあ。
いずれにしても、この畳の配置だと床と襖に近い畳が「点前畳(道具畳)」となる。
風炉を使ったときは、こんな感じ。

_s_umi04
しかし、ちゃんと茶をしようと思ったら、まず軸は絵ではだめで、「墨蹟」が好ましい。また、香炉ではなく、茶花を生けなければいけない。このあたり、茶道具も含め、部屋の室礼との取り合わせには難しい「規矩」があって、おかしな組み合わせにすると、「は!??」とか、「ええご趣味してはりますなあ」とか言われかねないので、私のような素人にはちょっと手が出せない(ガクブル

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2019/06/01

和風展と参加賞

Yuyaimg

第13回和風展もつつがなく終わった。もう13年目なのか、すごいなあと感心。投稿される方も古株(失礼)の方が多いが、毎年技術に磨きがかかって、すばらしい絵を見せてくれる。他人様の絵を見ていていつも気づかされるのは、ああ、こういう発想もあるのか! という驚き。自分の狭い固定観念では到底作成できないような、構想・構図・色使い・etc. 当たり前のことなんだけど。

 

さて、今年は何とか2枚の絵を仕上げたが、そのおかげで参加賞の作成にしわ寄せが来て、コメント最終日の夜中までずれこんでしまった。実際には、バグが多数見つかって、翌日の昼までドタバタしていたのだが、これは秘密。

 

 

今回は江戸の「湯屋」。売り物ではDAZのsugatakさんが良いものを作っているのだが、過去に模型などで再現した展示などを含め、「妻入り」の建物にしているのがちょっと引っかかっていた。あの「御殿建築風」の破風を見慣れているので、それを引きずっているのではないかと思うが、江戸期の湯屋は「普通の二階家」であったようだ。豪華な装飾は、湯船に入るところの「柘榴口」だけ。
今回のモデルは、パーツの数が膨大になってしまった。全部一つにまとめてもよいのだが、戸口や窓の開閉、レンダリングのための壁の部分的な取り外しを考慮すると、別々に分けた方が無難という結論になる。
細かくマテリアルの設定をしたい方は、超面倒だが、objモデルを一つずつ読み込んでいただければと思う。

 

 

propの中で、「将棋盤」「碁盤」はReadmeにも書いたが単独で使用できるように想定しているので、呼び出すと(0,0,0)のところに鎮座する。
将棋の駒は駒箱の中、碁石は碁笥の中に一組だけ入っているので、必要な場合は適当にコピーして配置してもらいたい。
私は将棋も碁もさっぱり分からないので、変に並べると盛大な突っ込みが入ると思って、隠しておいた。

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2019/04/02

八王子十五宿

Hachioji00

長らく中断していた「甲州街道」の内、八王子十五宿を特別に取り上げたページをやっと完成させた。

ファイルのタイムスタンプを見てみると、最初に作ったものが2016年4月だから、なんと3年もかかっている。

まあ、作成したモデルや画像の数が膨大だからなのはもちろんだけど、調べるのが楽しくなってきて、欲を出したのが原因ですな。

作成のプロセスとしては、国土地理院の数値地図(標高)を元にして、地形データをメタセコで作成、その上に家だの寺院だのを資料に基づき設置。画像の方は、地図データを地形の上に張り付けてからテクスチャ作成。

と、書いてしまえばそれだけなのだが、まず地形を確定するところからつまづく。数値地図から3Dモデルを作成するのはいくつか方法があり、GISソフトも試してみたが、結局カシミール3Dに読み込み、グレースケールの段彩図を作成して、それを地形データとしてメタセコに読み込むことにした。グレースケールはカシミールに用意されていないので、自分で作成する。ここで、黒を海抜0、白を3800mとかしてしまうと、まるっきり凹凸のない図ができてしまうので、あらかじめ作成する範囲のおおよその最低・最高の高度を調べ、その間でグレースケールを設定する。

ところが、作成したグレースケールに変なものが…

  Hachioji_gray_parts

画面中央に弧を描く、白っぽい筋が。

こ、これは高速道路では? 数値地図では、建造物の高さはオミットされるはずなのだが、道路は測定されてしまうということか。しょうがないので、ちまちまと画像を修正。実際には、この他に鉄道の線なども消している。

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2019/02/03

PBR

Mask

節分だし、鬼の画像でもトップページに貼ろうかと思ったが、ちょっと凶悪なので「みかん」にしている。

Vueがサブスクリプション方式に変わり、Plant Factoryと統合されてラインナップも3本になった。サイトをクラックされて、半年近く活動停止していたのだから、ダメージは相当なものだろう。まあ、それでも再開して新バージョンを出してきたのだから、よしとするか。

新しいVueの新機能の一つがPBR(Phisical Based Rendering)対応だ。折しも、AdobeがPBRの先駆者であるAllegorithmic社を買収したというニュース。いよいよ、Substance系ツールがPBRのデフォルトとなるのだろうか。

Vueで読み込めるPBRの形式も、Substance Designerから出力できる.sbsar形式のマテリアルだ。だが、この.sbsarファイルは、中身を見たり編集したりすることはできない。
自分で思うようにパラメータを変えたいのであれば、材質の種類をPBRにして、一つずつPBRの画像ファイルを読み込む必要がある。
ここでPBRとは何ぞや、ということになるが、私のように表面をひっかいているぐらいのシロートには説明が難しい。「PBR」で検索すれば、ちゃんとした説明をしてくれるサイトが山ほどあるので、そちらを参考にしていただきたいのだが、要するに、「色(デフューズ)」「法線(ノーマル)」「ラフネス」「メタルネス」の4種類の項目に、テクスチャを割り当てる、ということらしい。
この場合、色マップからは陰影を排除しておかなければならないのだが、フリーのPBRをダウンロードして見てみると、そこはどうもちゃんとなっていないものが多いようだ。
自分でPBRを作成するには、もちろんSubstance系ツールを使えばいいのだが、無料のソフトでもそれなりのものができる。
私が使っているのは、Materialize。調整はやり方は試行錯誤だが、とりあえず必要なテクスチャは全部吐き出してくれる。
トップページのみかんは、これでPBRを設定してみたのだが、果たして効果が出たのかどうかが不明…もっと接近してレンダリングしないとわからないのかもしれない。
Sketchfabからダウンロードした、般若の面で試してみる。 このモデルには、PBRテクスチャが同梱されている。
左側が色マップのみ適用したもの。右がそれに加えてノーマル、ラフネス、メタルネスの各マップを適用したもの(クリックで拡大)。
右では、眼球や角の金泥、筆跡などの凹凸がリアルに表現できている。
理屈は分かったけど、さて、この先に進めるのかどうか。今年もがんばらねば。

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2018/12/29

両国橋を作る

Ryo_img

木造橋のモデルは色々作っていて、一番昔に作ったものは10年以上も前だ。
そのころは、UVの知識など全然なくて、単純にプリミティブを組み合わせたものに色だけ指定していた。

遠景には使えるけど、近くに寄って眺めるべきものじゃない…
20181228_20h51_34

その後、少しだけ利口になって、テクスチャをはるようになったが、「橋ってこんな感じだよねー」くらいの感覚で作っていた。
構造に注意して作成したのは、猿橋ぐらいで、江戸の大橋である千住大橋、吾妻橋、両国橋、新大橋、永代橋については、あまり使うこともなかったため、橋の上だけテクスチャ設定したりで中途半端なまま。
で、今回両国橋をシーンに使うにあたり、もう少し調べてみようと思い、両国橋を描いた数多くの浮世絵を眺めて、ふと疑問に思った。
両国橋の橋杭の数って、いくつだったのだろう。
浮世絵はデフォルメが既定値なので、正確な描写は望むべくもないが、結構差異がある。また、橋の梁に平行に並んでいる橋杭一組を「側」と呼ぶが、一側に何本の橋杭があったのか、それもばらばらだ。大胆に一側2本としているものもあれば、4本に描いているものもある。
鈴木理生の「江戸の橋」(三省堂,2006)でもこの点が言及されており、「橋脚の橋杭の数を忠実に描いた絵があったらご教示願いたいものである」とある。
もちろん、江戸時代を通じて両国橋は何回も懸けなおされており、その都度橋の長さや幅、橋杭数などは変化している。しかし、それにしてもあれだけの大橋で一側橋杭2本、というのはありえないだろう、ぐらいの見当はつけられる。

江戸東京博物館には、両国橋とその近辺のジオラマがあり、このジオラマ作成の話が「復原・江戸の町」(波多野純、筑摩書房、1998)に載っている。「江戸の橋」とこの本に目を通して、江戸期の橋の図解「両国橋掛直御修復出来形絵図」が国立国会図書館デジタルコレクションにあることがわかった。
これを見て、愕然。
まず、一側の橋杭の数が、橋の両端部と中央部で違う。考えてみれば合理的なのだが、負荷が大きくなる中央部では橋杭の数を多くしているのだ。側の橋杭間をつなぐ「貫」も、中央部では上下2本となっている。
そして、橋杭の間隔が均一ではないこと。
今までは何も考えずに、橋の長さを適当な数で割り算して、橋杭を立てていたが、この図解を見ると側と側の間隔がバラバラであり、東西対称ですらない。

一番狭いのは親柱(男柱)に近い部分で1.5間(2.7m)だが、一番広い中央付近では5間4尺8寸(10.44m)もある。
Ryogokubashi_img1

この一番広い部分は「御通船間」とよばれ、「御」がついていることからわかるとおり、将軍家など公用の船がこの間を通るようになっていた。しかし、浮世絵などを見てみると、民間の船もこの箇所を平気で通行していたようなので、一般の通船を禁止していたものではなさそうだ。
ちなみに、次に広い側と側の間は5.2間(9.6m)で、「風烈間」とよばれている。
橋の「反り」に関しては、袂と中央部の際は1丈5寸(3.15m)ぐらいだったようだ。全長が169mに対しての3.15mであるので、それほど大きな反りではない。永代橋はもう少し反りが大きかったようだが、河口に近く、帆船の出入りも多かったためだろう。
なお、橋の中央付近、側でいうと東から9~18側の橋杭の上流側には芥止めの杭が設置されていた。

橋杭の一本の太さは、直径約48~60cmぐらいあったようで、かなり太い。この柱が「磨き丸太」であったのか、「皮つき丸太」であったのかがはっきりせず、前述の「江戸の橋」でも「浮世絵でも両方のタイプが描かれている」と述べている。時代により変遷があったのかもしれない。
自分のモデルでは、少し都会っぽい雰囲気を出したかったので、磨き丸太で設定した。まあ、このあたりはテクスチャの変更でどうにでもなるだろう。

調べることに夢中になっていて、時間は過ぎてゆき、年の暮れは迫る。

ここらで失礼して、その昔、両国橋の上で出会った大高源吾と宝井其角の歌をば、

「年の瀬や 水の流れと人の身は 明日待たるるその宝くじ」
…あれ?
というわけで、皆さまよいお年を。

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2018/09/17

本の始末

連休の最終日、本棚に「落下防止テープ」を貼る作業のついでに、もう読まない本をまとめて捨てることにした。
主として文庫本を200冊以上捨てたのだが、問題は床に平積みになっている本の大半は大型本(資料、画集など)のため、ちっとも片付かないこと。
最近は、小説類は極力電子書籍で買うようにしているので、文庫本はほとんど増えないのだが、専門書・資料類はそうはいかない。劣悪な環境に置かれているこれらの本を見るたびにため息が出てくる。
もし、自分がこの世を去ったら、これらの本はどうなるのだろう、と考える。
高額な本や絶版本など、結構貴重な本も中にあるのだが、保存環境がよくないので、古本屋でも取ってくれるとは思えない。
私などは、資料本は、程度がよくなくても「読めれば! いいから!」と安い古本をあさるのだが、世の中はそうでない人が大多数なんだろうな。
図書館に寄贈すれば、という声もあるが、図書館にしてみれば寄贈は「ありがた迷惑」の部分もある。ただでさえ書庫が足りなくて悲鳴を上げているのに、有象無象の寄贈図書がどっさりと降ってきて、既存図書との重複がないかどうか調べたり、目録登録したり、補修したり…。
「山のような本の山」と格闘する遺族のことを考えると、早めに処分してしまった方がよいのだろうが、資料本は生きている限りは手元におきたい。
先人の知恵が詰まった貴重な本、捨ててしまえば断裁か焼却しか行先がない。
何とかならないもんだろうか。

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2018/05/27

第12回和風展

あぁぁ、今年も絵が出せなかった!

予定はしていたのだが、4月から部署(勤務場所も)が異動になり、超忙しくなってしまったので、まったく時間が取れなかった。
で、今回も参加賞のみでの参加。それも、コメント終了間近のこの時期になって、やっと完成。

で、今回も「誰かいつこんなもの使うんだ」タイプのプロップ。
Bezai_img
江戸後期から明治期まで活躍した、「弁財船」。24反帆、いわゆる「千石船」である。
「菱垣廻船?」「北前船?」という疑問が生じそうだが、菱垣廻船は舷側の「垣立」が菱垣に組んであるからその名がある。これは菱垣廻船ではない。
北前船形式に近いが、北前船の特徴である船首・船尾の反りがそれほど強くないので、まあ中期から後期に近いくらいの感じかな、ぐらい。

可変箇所についてはReadmeを見てもらうとして、ざっと弁財船の構造の説明をば。
Bezai_ex Bezai_ex2 和船は帆桁の角度を変えることにより、横風や逆風でも前進することができる。これを「間切り」と呼ぶ。
荷役用の伝馬船は、空荷のときは「胴の間」と呼ぶ中央部に乗せているが、満載時は「合羽」の上や、荷物の上に乗せる。
ちなみに、荷物満載時は、舷側に「蛇腹垣」という簡易な垣を立てる。
Bezai_loaded こんな感じ。

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2018/01/08

正月の終わり

新年、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

いつのまにやら正月ももう終わり…最後の休日に、上野にでかけた。
目的は、不忍にある、「下町風俗資料館」。10年ほど前に1回行ったかな。
Dsc02852s 例によって、資料的な写真しか撮っていないので、詳細省略。

2階の展示室に、こんなものがあった。
Dsc02861s
「連鶴」って、最近のもののような気がしていたが、江戸期からあったとか。
ここに展示されているのは、寛政年間に桑名の魯縞庵義道が著した、「秘傳千羽鶴折形」からの18種類。すごい。

資料館を出て、もう一つのお目当ての「上野の森美術館」へ。
ここで開催されているのは、「生賴範義展」。
20180108_19h01_27

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2017/11/19

文殊楼

昨日、日比谷公園での「魚市場&魚河岸まつり」に行ってきた。
Img_20171119_0002感想は…というと、「味と値段はそこそこ」かな。決して安くはない。
でも、「鮎の炭火焼き」「いくら丼」「伊勢海老の丸焼き」「あんこう汁」もろもろを一度に見て回って、食べ比べができるというのはよい体験だったと思う。
お財布は一気に軽くなったけど。
http://jffes.com/index.html

夕方に行ったので、もうあたりは暗い。けっこう人がいたが、みんな寒い寒いといいながら海鮮屋台を楽しんでいた。

で、ついでに足を延ばして上野公園へ。
なぜかというと、19日まで「東京数寄フェス2017」を開催しているから。
そして、見たかったのはこちら。
Dsc_0005
かつてこの場所に立っていた、上野寛永寺境内にあった楼門「文殊楼」の再現だ。
文殊楼は、数多くの浮世絵に描かれている。
だいぶ以前、文殊楼の3Dモデルを作成し、年賀状にも使ったことがある。
Kanei_v84_2b_2今見ると、あちこちアラが目立つモデルだけど、思い入れのある建物なので、一度実物大の文殊楼を見たいと思っていたのだ。
文殊楼は、上野戦争のときに他の多くの伽藍とともに焼き払われた。今残っていれば、いい観光名所になったろうなあ、と残念に思う。

「魚市場&魚河岸まつり」「東京数寄フェス」はいずれも今日11/19まで。 

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2017/09/06

生存報告

年に1回しか書かない「年記」になってしまっているので、たまには近況をば。
この夏は「脊柱管狭窄症」の手術をしたので、10日ばかり入院、現在勤務しながらリハビリ中。

先週末に、北品川にちょっと散歩。目当ては「街道文庫」。
以前に新聞で紹介されていて、一度行ってみたいと思っていた。
古書店だが、店主の方が個人で集められた4万冊強の街道関係の書籍が置いてある! 私にとっては夢のような環境。
場所は、品川区の新馬場の駅から歩いて数分のところ。旧東海道の品川本陣跡の近くだ。
「休業日:不定、営業時間:不定」ということなので、行ってみるまでは営業しているかどうか不安だったのだが、やっていた。

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…いや、すごいところだ。
小さな店舗(営業しているのかどうか、外からでは伺い知れない)の中に、足元から頭上まで本がぎっしり。
どのくらいぎっしりかというと、下の段の本を見ようとすると、書架に正対してしゃがめない。通路が狭すぎて、横向きにしゃがんで横目で眺めるしかないのだ。立って本を見ようとすると、顔面間近に本があるもので、老眼では書名がぼやけて読めない。棚にも床にも収納しきれない書籍が平積みになっていて、ちょっと触れると雪崩をうって落ちてくる。ここで地震が起きたら、確実に本に埋もれて死ぬな…
「もうあと5坪あれば、本整理できるんだけどねえ」という店主の言葉だが、いやいや、それくらいじゃ焼石に水だろう…

しかし、品揃えはすごい(一部分しか見られなかったけど)。例えば、今では個別に古書を探すしかない全国の「歴史の道調査報告書」は8~9割揃えているそうな。ただ、置いてあっても「売れない」本も多数。複数ある本は売れるが、一冊しかない本はもう入手できる見込みがないため、売れないとのこと。私も、とある本を買おうとしたのだが、断られた。ただ、「コピーしてもいいよ」と言っていただき、必要な個所をコンビニでコピーさせてもらった。思うに、ここは古本屋ではなくて図書館だなあ。あ、別の本もちゃんと買ったけど。
「欲しい情報を先に連絡してもらえれば、探しておくから」という心強い言葉をいただき、店を後にした。

新馬場の商店街(旧東海道筋)の中には、「街道文庫」から本を提供している「KAIDO」というカフェもある。ここにも寄るつもりでいたのだが、結構人が多かったのでパス。その近くにあった「いっぷく堂」という小さな和風カフェに入った(ここにも古書がいくらか置かれている)。
ここのかき氷がおいしかった。シロップも手作り、上にはたっぷり果物のコンポートが乗っているが、それも手作りだそうだ。私は「桃」を頼んだが、4種類までシロップを選択して色々楽しめる。香り高いほうじ茶つき。

帰りは、新馬場の駅の目の前にある「品川神社」へ。
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昔はこの神社から品川の海を一望することができたはずだ。江戸時代には、東海寺の鎮守社だったが、現在では東海寺の寺域が小さくなり、品川神社は駅前の一等地(?)という事情もあって、品川神社の方が目立つ存在になっている。
末社の浅間、阿那稲荷、御嶽社も山の上にある。
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本社殿はこちら。
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今度来たときには東海寺にも寄ってみよう。元気があれば、大井の品川歴史館にも…

3Dの方もぼちぼち取り組んでいるが、今年の目標は「やりかけの作品の完成」と「買ったまま放置状態のソフトの活用」。
前者は、もう完全に超個人的趣味でやっているので、どこまで詰めるか未定。
後者は、具体的にいうとZBrushとか3DCoatとかPlant FactoryとかGeocontrolとか(以下略)、、、(あれ、いつのまにかGeocontrolがWorld Creatorに名前変わってる)、フリーのソフトでも使っていないものが多数。
まあ、3DCoatはこの間ちょっと3Dペイントで使ったからいいか。ZBrushはバージョンアップだけしていて、ほとんど触っていない。
Plant Factoryはローポリの樹木をテスト作成してみたが、「どこかおかしい」。何がいけないのか、まだつきつめていない。
それに加えて、この間Marvelous Designer(Steam版)を買ってしまったので、こちらは勉強中。
お見せできるぐらいのネタができたら、また投稿の予定。

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